おとり化粧室


価値観は様々だから正しいとは言い切れないけど、学校の国では校則を一回も破らない奴が偉いんじゃない。


イキがるのとか悪ぶるのがダサいのは重々承知、

髪色とか化粧、ピアスとかネイル、そんなもんに必死になって呼び出し喰らった思い出を、

痛いなって、恥ずかしいなって、それで成長を自覚できたりもするため、

学生の内に低レベルな行動をした大人は、年下の子の空回り具合を微笑ましくなるんだ。


そう、君はまだ若い。
大人になって諦める機会が増える前に、今しかできないことをしなきゃならない。

たとえばSNSサイトで私生活の実況をすること、つまり友達のプライバシーを侵害すること、

更にアルバイト先のお客をネタに更新すること、つまりコンプライアンスを守らないこと、


後はまあ、恋愛の価値観を語り合うこと、地元のツレが捕まったこと、

ショボいキャラの同級生をイジること、昨日寝てない自慢をすること、

武勇伝を教えてくれる男子に喜んで尊敬すること、モテようとオウム返しを繰り返すこと、

たくさんたくさん消化しなきゃならないことがあって、

女子高生は無限を手にしている。



「あーなんか玲前髪切りたいかも〜」

「分かるー!」

君が優秀なことは、友達が雑談してるのに一人ケータイ小説を読める点から分かるように、

リアル世界で君がつぶやけば皆が反応してくれる訳で、

スマートフォンを容易に操るコミュニケーション能力の高さならピカイチだ。


さて、対面した子と絡むのが下手な割に、携帯電話があれば社交的キャラに変身できるのも、

女子高生が得意な不思議魔法の一つだ。