おとり化粧室


また、プリクラを皆に配るのは、下積みアイドルがCDを手売りする様子を思い浮かべると良いかもしれない。

ただ、『この歌を届けたい』や『この想いを託したい』みたいな健気歌手ばりな無垢さの欠片は女子高生になく、

君たちの場合、『アタシの顔と名前を広めなきゃ』や『誰よりも可愛いってアピールしなきゃ』って、野心しかこめられていないのだけれど。


乙女心はお砂糖と信じる男子や年下がタイプの中年男性にはショックが強いため、

秘密にしておくべきだが、
月曜日の朝、特に学生はプリクラ交換に必死なはずだ。


なぜって、学校の国の使者たちは、

金曜の放課後、土日の休み、
いかにアタシは私生活潤ってるかを、クラスメートに知っておいてもらわなきゃならない宿命なんだそう。


この風潮に混乱気味な人は、日本の国だと正常でも学校の国に一歩踏み込めば異常となるため、

ここは女子力高く上っ面だけでも合わせるのがベターだ。



詐欺れた決め顔の勝負一枚、私服コーディネートの自慢一枚、面白い落書きのネタ一枚、

写ってるのは自分でも、誰にどの一枚を送るかって一時間は余裕で考えてるし、

メモ用紙だって、絵柄でセンスが伝わるものを選び、器用に折ってるし、

ねえ、そんな陰謀は大人の国だと理解不能かもしれないが、確かに君が生きるリアルには根付いてるんだ。