フーセンガムを子供っぽく割ったような声が響く。
「なんかさぁ、君チャンってぽわんってして小動物っぽくて一年で可愛いしオシャレだから先輩に目ぇつけられたんだね〜、いーなぁーひゅとか声かかんねーし」
ひゅったんの喋る内容自体は口先だけで薄っぺらいし、したたかさが露骨だから、
女子力高い君は通常なら感動できないんだけど、今回は嬉しかった。
というのも、昨日までなら、
『なんかさぁ、澪碧嶺ってぽわんってして小動物っぽくて一年で可愛いしオシャレだから先輩に目ぇつけられたんだね〜、いーなぁーひゅとか声かかんねーし』
って、ひゅったんが語る主役は必ず澪碧嶺だったのに、
今日は澪碧嶺より君の名前を呼ぶ回数の方が多いんだ。
ひゅったんの中で無意識に『澪碧嶺<君チャン』の力関係が成立しちゃってるのが嬉しい。
次期エースは君なんだ。
ううん、もう世代交代しているのかもしれない。
だって、
「そーだそーだ君チャンかわいーぞー、俺は隠れファンだったんだ」
「黙れ矢尾! 君様は二組の皆のモンなんだ」
ノリ良い男子が変な口調で好意的にイジる対象にランクアップできてるみたいだし、
「君チャン人気だね、センスあるしぃ」
「ねー、君チャン肌キレイぃしねぇ」
ひゅったんグループの活発女子やオシャレ姉御グループが積極的に持て囃す存在に記録更新できてるみたいだし、
他のクラスメート皆が君に視線を送ってる訳で、
こうなると、学校の国のおきてで、
次の新曲でソロパートが一番多い重鎮メンバーとして、再デビューできちゃうんだそう。


