たまに、『もぉー遠慮すんなッ、後ろの子、ほら前に来なょ☆』って学生的な状況になって、
前列に抜擢されるけど、結局は落書きペンを握るグループがこの先クラスを仕切ってく訳だ。
あの日、ひゅったんと雨季が並んで笑ってるのを、澪碧嶺の後ろで君は見てたはずだ。
そうして教室では新しい教科書でお勉強をしたり美味しいお弁当を食べたり、手抜きお掃除をしたり自習時間にお昼寝をしたり、
ごくごく普通に時間が流れてったある日、
――――入学後の二週間経つか経たないか、だったと思う。
雨季の噂が広まったのを、君は覚えているかな?
A『知ってた? 雨季って可愛いけど中学ん頃アニオタだったらしいよー、なんかDVD大人買いしてたらしくー』
B『へ?! 何それウケる、ガセぢゃね? だって雨季フツーじゃんオシャレだし』
A『いやいや、なんかアタシのバイト先に雨季の地元の子と繋がりある子が居てさ、結構二次元依存で有名らしくさあ。可愛い今と別人みたいな』
B『ええー、デビューってこと?! ええ? それほんとに? え、待って本当に? モテ子なのに?』
どこの学校にも居る生徒A、生徒B、
C『聞いたー? なんか雨季って昔ネタぢゃなくて本気アニメマニアだったらしくー、高校デビューなんだってー。私服とかセンス良い割に過去にタブーが』
D『聞いた聞いた、なんか皆言ってるよね! 美少女なのになんでかな、あんま友達居なかったんだろねー意外、男子とか軽くショックかもね』
どこの教室にも居る生徒C、生徒D、
E『アタシびっくりしたよ、雨季って地元でオタクって嫌われてたらしーねー綺麗なのに』
F『ありえないよねー、漫画とかー。シリアスにイジメられてたらしーじゃん? 美人なのに同情しちゃう』
どこのグループにも居る生徒E、生徒F、
『ね、雨季って中学ん時イジメられてて高校デビューらしいねー、玲ちょっと信じらんない! ギャルいぃのにね、憧れてたのに玲』
君の目の前にも居る玲ちゃん、
ここは学校の国、
クラスを飛び越え学年全員がある一人を可愛い可愛いと褒めながら、
伝言ゲームに夢中だったでしょう?
ねえ、ネガティブな噂ほど積極的に伝わっていく世界を、未来を、
スマホばかり見つめる君は守れているのかな?


