おとり化粧室


スッピンでネイルサロンに行く時は、サングラスとマスクと目深帽子が必需品の女子大生みたく、

外見の自信が女子の内面を変える説は、学校の国だと有力だ。


『昨日カラコン外した目ぇ久々に見たら貧相でヤバイの、詐欺だよね。もし指名手配されてもスッピンで歩きゃあ絶対捕まらないよ』

『雨季ウケる〜』
『雨季おもろい!』


『全然知らない男子校の奴にメルアド渡されたんだけどさ、誰か成り済ましメール送ったげてよー』

『雨季ひどーい』
『モテる女は悪魔だぁ』


女子高生的にお喋り上手、盛り上げ要員、明るく元気な性格の子だと雨季は二組で通ってた。

彼女自身キャラを頑張ってる感もなく、

自分の中で眠っていたもう一人の自分が『アタシ女子高生でしょ』って感じで自然と言動がついてきて、

雨季っていう生徒は完成されていた。


入学して三日目の放課後、ひゅったん発信でクラスの女子全員でボーリング場に行って遊んで、

お腹が空いたから、わきあいあい焼肉食べて、
当然、君たちは狭い箱でプリクラを撮った。


出来上がったシールを見れば一目瞭然、力関係が可視化されてる。

ポジションがあって、
センターは男子と絡めるグループ、サイドはオシャレっ子グループ、

二列目以降は、ナチュラルグループ、普通グループ、地味グループ、ハミグループって具合だ。



別に、『誰々ちゃんグループ右ね、誰々さんグループは下がって』って、

会議していやしないのに、
カメラを前に、十数人の生徒は黙って自分に相応しい場所を察知していたんだけど、

これも女子高生が内に秘めてる魔法なんだそう。

大丈夫、君だって皆だって、おんなじだ。