おとり化粧室


メイク後の雨季は新しい顔のアタシに自信を持っていたようだけれど、

本当の本当は、スッピンの方が正統派で普通に可愛かった。


『あの子、可愛い!』

生まれつき雨季は不細工じゃなかったのに、中学生の彼女はどうして『可愛い』と呼ばれなかったのかな?


ごつめの黒ヒール靴に華奢な足が引き立つ黒スキニージーンズ、眩しく白いオーバーシャツに黒いハット、

春はパステルカラー、夏は爽やかカラー、秋はアースカラー、冬はダークカラー的な四季の定番色彩を無視して、

春夏秋冬黒攻めのタフでありながら女らしい美的ファッションは似合ってて、

なぜ中学生の頃、その服を着れなかったのかな?



まさか君はルックスだけで雨季が高校デビューを果たしたと勘違いしていやしないだろうか。

外見だけ取り繕っても、人間は中身が肝心だ。



雨季は性格も変わっていた。
良くも悪くも、『アタシが男子なら付き合いたい女子』に乗っ取られてしまっていた。



中学時代に集中的にイジられたアニメは捨てて、夢見た姿に変身できるオシャレを覚えたら、

『一人で趣味に走らずにもっと皆と遊べば良かった』

『さすがにあの頃のアタシ笑えないオタクだったんだ』

『あんなもんにお金を投資せずに美容代に回しとけば良かったよ』

自分で過去の自分を否定するように変わっていっていた。


それに、