『見返してやりたい!』
『強くなりたい!』
『生まれ変わりたい!』
『昨日までの自分にサヨナラするんだ』
がんばり屋イジメられっ子にありがちな、そんな決意を雨季はしなかった。
まあ、雨季は雨季のクラス間でイジメられていない設定だったから、
そりゃあイジメられっ子の決断と違って当然っちゃあ当然なのかもしれないけれど。
『普通の女子高生になりたい!』
御伽の国に住む良心の塊・貧乏なおじいさんおばあさんみたく、
贅沢に憧れない中学三年生の雨季は、たったそれだけのことしか望まなかった。
普通の女子中生なら、
『オシャレしたい』
『彼氏ほしい! 親友ほしい!』
『部活と勉強いっぱい頑張る!』
なんて、キラキラ欲張りに意気込む生き物なのに、雨季ときたら『普通の女子高生になりたい!』のみだ。
夢に大小つけるなど、よその家の晩御飯の品数にケチつけるばりに下品で良くないが、
それでも、あまりに雨季は新生活に遠慮しすぎでしょう?
質素も質素、心が栄養失調になってしまう。
ねえ、君たちの行いが雨季の夢をそうさせてしまっていたんだって、友情命の君たちは分かってるのかな?
親友、ダチ、絆、一生、ツレ、ああだこうだ作詩に励む余力があるなら、教室の空気をもっと吸って身体の内側から汚しとこうか。
ちなみに、ふあふあグループの女子高生宣言は、
澪碧嶺が『彼女になってくれたらいいのにって男子に熱望されたいな〜』、
玲ちゃんが『クラスで可愛い子になる! 可愛いって噂されたいな』、
ルルナが『週末はパジャマパーティーしたいな〜友達ほしいなぁ〜』、
三人それぞれ個性に合ってる。
そして、もちろん最後は君だ。
ねえ、君は今、女子高生になる前の自分を、どれぐらい覚えているのかな?


