おとり化粧室


「ほんっと玲ちゃんありがとねー、陸空に三百円借金してたんだあ良かった。――……。――あ〜っ、てか澪碧嶺かーわいっ今日の髪型お嬢様っぽくて萌える〜とかってー!」


女子同士キャッキャするシーンが男ウケするのを承知した上で、彼らに見られてるのを意識した上で、

ひゅったんは澪碧嶺を背後から抱きしめて、「ぎゅ〜しちゃうから」って言って、わざと男子を喜ばせてる。


「もー、二人仲良しなんだからー。」
「ねー。」

狙ったスキンシップに、『この計算女め』って、ひゅったんに内心腹を立ててる玲ちゃんとルルナは、

そんなバッシングをひた隠し、棒読みだろうが一応輪に入ろうと挑んだ。


歯ぎしりしすぎて顎が砕けちゃいそう。
爪が手のひらにめりこんじゃいそう。

二人と同じくイライラしてる君なんだけど、ストレスの原因は違う。

もちろん澪碧嶺だ。


耳の上から地肌をなぞるように掬ってツイストドーナツみたいになった左右の髪を、

後ろでおっきなバレッタでとめるハーフまとめヘアは、君がこの前していたアレンジだし、

手鏡とかバッグとか口紅とか小鳥とかのモチーフがレトロ可愛いバレッタだって、

君が先日オンラインショッピングしたヤツと被ってるし、

『もう許せない、コイツ死なないでいいけど一秒ホップに死にやがれ』って、ヒステリックでパンクなこともちょびっと思った。


学校の国には、オシャレ女子生徒のストーカーをする闇の地方出身の病み女子生徒が紛れ込んでて、

被害者が毅然な態度でも、正々堂々パクられちゃうんだそうで、

出会ってしまった二人、
たまたま君は運が悪かったのかもしれない。



ところで、