おとり化粧室


一年二組、今現在、
女子は六つのグループにわかれてるんだけど、

特別仲良しじゃないかわりに悪質なイジメもないなら、このクラスは何ら問題ない。

それがだいたい普通なんだ。
それを深く考える方が面倒臭い奴なだけだ。



「矢尾ー、百円玉五枚よこせー両替してー矢尾ー!!」

ひゅったんなんかは女子高生の声優にぴったりだ。


「ひゃくえん〜?、ねーし! 小銭は募金箱入れちゃう系男子だから俺は札しかねぇの」

「は、意味不、ウソだし使えない矢尾ー矢尾まじ使えなーい」

「募金ウソですすいません許してください、俺は小銭くすねる系男子です!」

君がオシャレ美少女を志すなら引いてはならぬ。
びっくりするぐらい全然面白くないどうでもいい会話でも、

ボリュームあげて教室を支配したがるのが、クラスを代表する重要人物の務めだ。

皆に聞かれているのを自覚してるナルシストなひゅったんと矢尾君は、

学校の国の外交官なんだそう。



「わあ、今日もひゅったん元気だねー?」
「だねえ〜盛り上がってるねぇ」

玲ちゃんと澪碧嶺の悪意ある言い方を緩和するよう「大丈夫かな、矢尾君の彼女さん」と、

ルルナが働きかけても、

「ねー! 玲ならわざわざ矢尾君に声かけないけど」って、玲ちゃんが違う方向へ進めてくのを君は見ていた。



ねえ、このクラスにイジメはあるのかな?


雨季、ひゅったん、澪碧嶺、ひゅったん、お喋りの主役になる生徒がただ代わってくだけで、

少なくとも、ふあふあグループにイジメはない。


ちなみに、『雨季って誰?』状態の子は、ケータイ小説をナメて読んでたのかもしれないため、

今後はちょいちょい登場するショボいクラスメートもしっかり見守っておこう。



「……ねえ、君チャン」

さっきから何か打ち明けたげなルルナが口を開いた時、