おとり化粧室

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活発な太陽は蛍光灯が必要ないぐらい眩しい光を窓いっぱいに注ぎ込む。


南側席の男子生徒は鏡を反射させて反対校舎の他人にテロ攻撃して遊んでいたり、

北側席の女子生徒は求人情報紙を広げ、時給にケチつけ雑談している。


そして、列と行が真ん中の席に座る一人を三人が囲って、とある四人組はガールズトークを開催中だ。


「昨日なにして遊んだの?」
「服見てクレープとか食べてーずっとバルゴあたりうろうろしてたー」

「てゆか何時まで遊んだの?」
「八時前かなあ、先輩彼氏が迎えにくるからーって」


玲ちゃんと澪碧嶺は興味津々聞いてくる。

あの花嫁先輩のプライベートを知りたくて、君の息まで食べかねない勢いで手厚く接してこられるものだから、

優位に立てる今、最高に気分が良かった。


「晩ごはんは?」
「別々。先輩外食好きくないんだって。肌に気を遣ってるみたい」

「何買ったの?」
「買ってなかったよ。節約したいから一日置いて考えてから欲しいものだけ買う主義みたい。先輩しっかりしてるよね」


少し得意になった君は、『アタシはカレのことなんでも理解しているの』の純愛体質な女子高生と同種の、

『アタシは親友のすべてを受け入れているんだ』の友情主義の女子高生らしく、

無意識に花嫁先輩のことを語ってしまっている。


でも、それは痛々しくなくて、皆も浅い関係で知ったか口調になりがちなので、

安心してほしい。
つまり、そういう女子軍団の目撃者になってしまった大人は引かないでほしい。