おとり化粧室


心を入れかえたら、放課後はキラキラ輝き出してしまっていた。

これから繰り広げられるオシャレな先輩とはしゃぐ後輩の図は、中学生が夢見る女子高生の分かりやすい例に違いない。



「君チャンさんって長いから呼び捨てで良いですよ?」
「えー、無理無理なんか悪いよ」

「じゃあ君チャンで」
「ん。君チャンっ!」

「わ、早速仲良しって感じですね」
「君チャン君チャン君チャン君チャンっあ、照れてる?」

死ぬほどつまらないお喋りも、


「先輩は色白さんだからなんでも似合いますね」
「えー! 君チャンのが真っ白だよぉ」

「先輩透けてますもん」
「あはは、やだー幽霊?」

「美白うらやましーです」
「わたしだって君チャンの肌艶憧れてるよー?」

死ぬほどうんざりする媚び合戦も、


「てゆか先輩ダイエットしてるんです?」
「んん、食べちゃう」

「えー運動は?! その細さの秘訣は?」
「しなきゃなのに食べちゃう〜」

「やっぱ生まれつき可愛い人はそーなんですねぇ」
「なにそれぇ、君チャンのが可愛ってばあ」

死ぬほど疲れる接待質問も、


周りの通行人たちから、可愛い女子高生って憧れられているなら、それだけで幸せじゃないか。


高校生に慣れてきて、君は贅沢になってたんじゃないのかな?

澪碧嶺の真似にしろ、玲ちゃんの彼氏語りにしろ、ルルナの隠れブリッ子にしろ、ひゅったんのお節介にしろ、

楽しくないと愚痴るより、自分の態度を見つめ直すのが先だったはずだ。


控えめメイクにおとなしめの髪、親しみやすいファッション、

清楚ルックを賄えてゆとりができたら、次は内面も清純派になってみようか。