おとり化粧室


実際、メールでしか言えないこともあるし、友達繋がりでブログからコメントくれるようになった他校の奴と付き合う子も居るし、

遠距離恋愛なんか電話して愛に微笑むもんだし、ピンチな時はケータイを掴めばだいたい解決してるし、

すると、ほら、携帯電話様を全否定するのも変でしょう?

学校の国の皆を虜にするカリスマ性なら、そりゃあたくさんあるんだ。



それでも、

花嫁先輩がお留守番中にスマホを弄ってるのが視界に入り、

『このアタクシが接待してやってんのに、ちょっと席を外したぐらいで退屈しやんなや!』って、

また君のストレスが増えちゃった。



自分だって家庭科室に向かう時とかお弁当の時とか、

澪碧嶺たちや家族、誰かと居る時に、

『つまんないの』って愚痴れない代わりに、毎日毎日ケータイ小説を平気で読んでる癖に、

そこのところをスルーするのがブレない君の良さだ。



  なんであっちが疲れてんの?
  フツーにムカつくし


怒りまくる君を少々フォローしておこう。

自分が消えた一瞬の間でも、すぐさま携帯電話のチェック始める相手の様を見て、

『どうしよう、さっきアタシと話してる時も本当は大事な人からメール入るんじゃないかって気が気じゃなかったんじゃないのかな?』って、

『ああ、そっか、アタシより携帯電話の中に居る誰かの方を重要視してるんだね、アタシはその程度なんだね』って、

『……アタシなんかより連絡くれる子のが、携帯電話のが大切なんだね』って、

スマホに夢中な花嫁先輩に切なくなった部分もあるんだ。

君が女子高生演じてるなら、共感できるはずだ。



携帯電話があって良かった?
携帯電話がなくて良かった?

親友が泣いてるかもしれない夜に、電話して話を聞いたげるのがいかにも女子っぽいけど、

家に押しかけて黙って抱きしめる方が、三流ドラマチックじゃないかな?