おとり化粧室


澪碧嶺や玲ちゃん、ルルナの人格や、花嫁先輩の出方を読める精神面で大人な癖に、

君って案外、根性がひねくれてるのかスパルタ教育なのか、

元カレとの甘酸っぱいメモリーでもわかる通り、こっちが損をするのを嫌う節があり、


花嫁先輩みたく、他力本願な奴の役になんか立ちたくありませーんって感じで、

「はーい、隣の店は行かないってコトですよね? じゃあ次どこにしましょっかー」って、

わざと相手に決断させようと企んでるんだ。



なんて言うのかな。
たとえばアパレルの職場で鏡拭き掃除があったとして、手荒れが嫌で本音はしたくないんだけど、

まあ仕事って割りきってるスタッフたちの中に一匹、

サボり魔の同僚はネイル保護優先でバケツの水を汲んだり汚れた雑巾を洗おうと絶対にしないから、

ソイツと当番の日は、暗黙の了解で大人な皆は自分が引き受けてて、


そんな内情を、皆よりも大人力高いせいで気づいてるにも関わらず、

『なーんでそんな無気力な奴のためにアタシが無駄な労力使わなきゃなんないのさー給料同じなのにヤダヤダ』ってイッライラするも、

本人とバトルのはクレイジーって教訓の学校の国で培った得意の笑顔でカバー、


『じゃあ乾拭きでッ★』って、ティッシュペーパーで掃除はするけど、いちいち小さく対抗しちゃうタイプが君だ。



だから、ねえ、君は特別大人なんだから、花嫁先輩を諦めて自分が率先してやったら丸く収まるのに、

なーんか嫌で、意地を張っちゃう。


「どこ行こっかあ?」

ウザい先輩の得意技、オウム返しで質問返しが出た。

そんな訳で、まあ、こう問いかけてやった。


「あー……、と、地下にアクセ屋あるじゃないですか、先に小物決めましょっか?」



どうせ三秒後の結果は分かってるのに、どうして試してみちゃうのかな?