おとり化粧室


左片方に寄せられた赤ずきんちゃんのかご的な編み込みヘア、リンゴが転がる鳥かごのピアス、

つまった襟が今季風のムササビみたいなシャツ、足首に向かって細くなるチノパン、

昔っぽいズック、トータルでぽわんとしたファッション、

笑顔で接客中の店員さんは、この街で小さいながらに時代を作る。


「これのエムってもうないんですか」
「あーこのコ人気でもうエスだけなんですよぉ」

「ええーうっそー」
「だから昨日買っとけば良かったんじゃん」
「残念です〜セール品はお取り寄せは無理でー。でもお姉さん、紺ならエムサイズ大丈夫ですよ?」

「紺かぁー……ね、どしよ」
「えーでもベージュ探してたんじゃん?」
「ベージュですかぁ〜?」


アパレルそのものの会話がメインと思いきや、

買い物してる時の女子って、目で漁ってるけど唇は元気だから、

他人のお喋りは結構面白いし、今の若者っぽさを大人が知った気になれる役割も持ってる。


「ってか英検受かる気配ナイのに受けるのリスキーお金ないよー」
「二級っけ? 難しそーでも受けとかないと資格欄間に合わなくなーい?」

こんなのや、

「紹介の奴さーなんか鬱陶しいからメールもう先週からシカトしてんのにブログ見てきてキモくてー」
「うわー困るよねそゆーん」

こんなの、

色んな制服を着て、お客さんは頑張って女子高生してる。

ちなみに、当時は無意識だろうが、自分が卒業後に現役グループと触れた際、

今の感覚が羨ましくてたまらなくなるんだそう。



さて、君はというと、