おとり化粧室


『いやー、そんなことはないよ、オレそんなだった?』
『ん、今それどーでもいいからとりあえずお昼、なんか食べたい物言って。』

『えーいきなり言われてもなぁ、メニューねぇし』
『そんじゃあお店決めてよ、で、ついたらご飯決めたらオッケーじゃんか』

『こっから歩いてける店どっかあるかなあー』
『……。』


こんな会話のみで伝わるはずだ。
女がイラッとしてて、男がナヨッとしてる空気の悪さが漂ってるはずだ。


性別関係なく、たとえば遊ぶ計画メールしてる際に、

時間や待ち合わせ場所、交通手段、カラオケやら映画やら何して遊ぶかなど、

いつだって相手に決めさせるよう無意識に誘導させる人は、


無駄な責任を負いたくないタイプか、無駄な労力を使いたくないタイプで、

要は、いざという時に助けてくれない奴って悪評を、

学校の国では夜な夜な女子会で討論されてる訳なんだけど、


花嫁先輩はそんな感じの元カレにそっくりで、やっぱりイメージと違って再度がっかりした。


質問返しやオウム返しがモテるとか人見知り克服とかのコミュニケーションの基本って勘違いしたらダメ、

相手をイラつかせる逆効果、学校の国で生きてけないんだそう。



ほら、洋服屋さんでの花嫁先輩ってばまあまあ最低で、

君の後ろをついてまわり、君が手にした商品を覗きこむだけで、

ちっとも自分から行動しないし、当然、話しかけてきやしない。



  なんか。
  ……なんなの。

三重レースで動く度に花の模様が変化する爽やかキャミも、

ぜひ麦わら帽子に合わせたいおしりの辺がたぽっとしてるチノパンも、

着たいなんて思わないから、着せ替え人形の鏡が浮かばなかった。