おとり化粧室


通行人にチラ見されてるのを意識して、おすましアヒル口を作る花嫁先輩は、

君と居るのに、退屈しのぎかスマホをいじりはじめていて、

普段、自分がしてるってことに気づかない君は、人の振り見て我が振りなおせってことわざを忘れてる君は、

『ちょっとこの女マヂ失礼でしょ〜!』
『マナー知らずが!』
『現代っ子で引くわ!』

って、ムカムカしてた。



しかも、花嫁先輩って学校で噂のイメージ『明るい小学生キャラ』とは別人で、

今日のお買い物企画を立ててくれない上に、

「あ、うん、どこ行きたい?」なんて具合のまさかの質問返し技を繰り出すタイプで、

勝手だけどイメージが下がった。



  意外。
  こんな人だったんだ

  もっと
  ポンポン決める人って
  思ってたのに
  、微妙にショック


  知り合って数秒……
  もう嫌いかも

  普通にうざくない?



「あー……まあ、じゃあ、……一番近いとこ入りましょっか。死ぬほど暑いし?」

ストレス堪えて君が笑えば、

「だぁねー! 暑い暑いまだ六月なのに太陽本気だ」

能天気な花嫁先輩は後ろについてきた。



さて、君の沸点が低いと思った方は正解だ。

『信じられない』
『ありえない』
『おかしい』
小さい事でもいちいち否定的にしか見れない毎日が愚痴っぽい子は、

誰かを批判することで自分はマシって確認安心作業に必死、

気楽な子供を演じられる子が、実は大人なんだって知らないから、

今日も何かしらご立腹なんだろう。