玲ちゃんと同じ女子高生ポリシーでも、花嫁先輩なら真似てみたくなる。
これがカリスマ性なのだろうか。
なんか中学時代に闇があって、なんか男性恐怖症でナントカカントカ、
なんか波瀾万丈詰め込み物語のあらすじチックな説明を受けた。
「、あ、の……ごめんなさい」
触れられたくない過去を思い出させ傷つけてしまったかもしれないと気にやんだ君に、花嫁先輩は振り向き言った。
「謝らないで。いいの、彼氏が傍にいてくれたら今は充分幸せなの。愛を教えてくれた人だから。だからわたし彼氏を安心させるためにもまずはモデル、人前で頑張ってみたいの」
真っ直ぐこちらを見つめる瞳は美しい。
控えめなまつエクだけで人間性が伝わる。
ぽわぽわした女の子らしい印象とは異なり、キリッと強く芯のある大人の女性らしい表情だった。
今の名台詞が玲ちゃんだったら、『はあー? 彼氏彼氏うるさー! 悲劇のヒロインご苦労さん』って舌打ちするのに、
『いやいや待って、“だから”の最終系がなんで読モに繋がる訳? 出たがりめ』って批判したくなるのに、
やっぱり花嫁先輩は別格で、『アタシも先輩みたいな深い恋愛がしたいなあ』と、
感動できちゃったりなんかする。
それから約二十分、ファッションビルが乱立する駅前通りに着くまでの間、
チェックしてる芸能人のブログとか、おすすめのカフェや雑貨屋とか、
普段よくカラオケで歌う曲とか、血液型や家族構成とか、
どこか四月っぽい話題で君たち二人は太陽の下、仲良くはしゃぎ、
こちらに手を振る澪碧嶺とルルナが乗ったバスが通りすぎていったのをシレーっとシカトしてみた。


