おとり化粧室


『イケメン先輩と絵になる花嫁先輩が贔屓にするあの子はだぁれ?』


放課後が始まって一分少々、
皆は学校の国の国民的花嫁の隣にいる名もなき少女が気になってしょうがないらしい。


いつもの廊下、いつもの階段、いつもの靴箱、いつもの校庭、

どうして世界が変わったのかな?



「あれー彼氏以外で一緒に居るとか珍し、あいつ一年?」
「先輩と君チャン繋がりあったっけ?」
「君チャン意外と顔広いんだあー?」


心地よい噂話に包まれて、肌艶がアップしてるんじゃないかってくらい力がみなぎってきて、

オシャレな魔法がかかった君は、浴衣パワーばりに三割増してるため、

キラキラ自信は内面から造られる説は有力だ。


ところで、学校でメインページを飾れる花嫁先輩と並んで歩くことは、学生社会的に大変な名誉なんだけど、

今の君の胸中がハテナな大人は、若者の代弁者には不向きだ。

もっとリアルに触れた方が良い。



「でも先輩、読モ受かるって凄くないですか?」
「ねえ、びっくりだよー、卒業する前に女子高生の記念にノリで送っただけだったんだもん〜」


「またまたぁー! あの雑誌って競争率高いって聞きますよ、さすがです」
「ねーえ、いざ自分がそーなると困っちゃうね、新星特集で四人でね、単独一ページカラーだよーその反響で次呼ばれるか決まるみたーい、お腹痛いしー」


「いきなり一ページも!? 編集者の人かなり先輩推しじゃないですかー、あはは。雑誌ん公式ブログの話とかくるんじゃないですー?」
「不思議だよねー、わたしラッキーだあ!」



リズムよく流れる二人の会話に違和感を覚えた人は、

毎晩君が読んでるケータイ小説のトンチンカンな文面と同じぐらいブラック素質がある。


だって、