おとり化粧室


「だってねぇ、うちのガッコで一番ふわっと女の子らしいカッコ似合ってるのって小動物っぽい君チャンさんだなあって!

うわーとってもオシャレ少女だーってわたしファンなんだぁ?! 普通にわたしブログ見てるもーん」


明るくお喋り、健康的、少々おどけ気味ムードメーカーって感じ、

『ぶどう種ごと食べちゃったよー! どうしよう怖いよアタシ!』って小学生みたいな無邪気さを武器にしたい感じ、

玲ちゃんが目指してるタイプの女子高生完成形が、この花嫁先輩だと思われる。



「お願いっ、わたし不安なの手伝って〜!」

学校の国の女子界では、男子が惚れる次元や、ファッションリーダーのカリスマとはまた異なる位置付け、

『アタシの憧れナントカちゃん』っていうマドンナな存在が求められてて、

三年生の花嫁先輩は、一年生で言うところの澪碧嶺クラスの逸材だ。


そんな目立つ偉人に見初められた君を、

「凄いじゃん! 君チャン!」と、ルルナが一番に応援し、

「凄いよ君チャン」って玲ちゃんがすかさず乗っかり、

遅れないよう「良かったねえ」と、澪碧嶺も笑う。



突然、スポットライトを浴びてしまった君は気持ちが追いつかない。

事実上澪碧嶺主役のふあふあグループ物語のチョイ役の君が、スピンオフ作品に抜擢されたって、

上手い演技ができる自信はない。



でも、