おとり化粧室


ほら、今まで通りでしょう?


澪碧嶺に意地悪したらダメだって厳しくひゅったんに咎められた事件は、社会に抹消されている。


『ネムいって何? アタシ知らない』が、暗黙の了解で、タブーで、

ふあふあグループでは、なかったことになっている。



可愛い女子高生をしてる皆も、かつて学生活動家だった大人な皆も、経験済みのはずだ。

なんかグループ内で微妙にすれ違いが生じ、

皆の中で『アイツうざい』って一致団結、一人が除け者にされていたとしても、

上にバレて立場逆転、こちらがピンチ、

取り急ぎ誤魔化し一人を手荒に接待し、『コイツほんとは嫌いなんだけどねー……』って悪態つきながらも、

なんでもなかったかのように笑いあっていたあの日々を。




そして、もう一つの物語、

なんかよく分かんない間にグループ内で微妙に邪魔者扱いされ始め、

自分の中で『皆だいっきらい』って、シカトしてくる皆を悪者にしていたとしても、

態度急変、こちらが有利、

いきなり皆に手厚くすりよってこられて、『ナンデ? 裏表激しくね?』って戸惑いつつも、

なんでもなかったかのように笑いあっていたあの日々を。



仲良しグループは仲良しグループだからこそ、触れたらならぬ過去を背負って友情していく。


澪碧嶺を除け者にできそうだった記憶はただの夢、

ねえ、本当は君だって知っているでしょう?