「玲ちゃんと君チャンのせいでルルナまでが可哀想だよ?! 分かってるの?!」


これは学校の国だとよくあることで、

皆も小中高反芻すれば、ひゅったんみたいな子に出会っていたはずだ。


クラスで一グループがすったもんだしてたなら、自分は直接的に関係ないのに、

『ほっとけない!』
『なんとかしてあげたい』
『アタシにできることがあるなら協力する』

なんて具合に、謎な使命感や責任感にかられ、

勝手に正義を気取るヒロインと、社会人が言うところのお付きあいで青春せざる得なかったはずだ。



おっちょこちょいなひゅったんは澪碧嶺の相談しか聞いてない癖に、すべてを神のつもりで決めつけてくる。

君の言い分もルルナの不満も玲ちゃんのストレスも知らないのに、澪碧嶺だけを基準にする。



「ちょ、! 君チャ……?」


『どうしたの?』
そう聞かれても、周りがよく見えない。

印象派の絵画みたく、視界はぼやけて輪郭を失っていた。


「泣かないでよ君チャン」


  ――?

  なく……?
  え、あたし泣いて――?


そう、君は悔しさで涙が溢れ出ていたらしい。


ヒロインの涙で死んだはずのあのお方が生き返るシナリオから分かる通り、

現代でも女子の涙は万能で、あらゆる場面で自分だけを救ってくれる。




「なーんだっ、仲直りしたみたいだね?」


泣いた君にひゅったんは、『良かった、アタシの想いが届いたんだね』って満足したらしく、

ふあふあグループの解決を、これまた独断で発表した。



ほら、これがリアルの世界だ。


真似されたストレスを癒してくれた親友、アンチ澪碧嶺結束、

夢の時間は一日にも及ばなかった。



……