おとり化粧室



「あ、先輩〜」

ワガママな玲ちゃんがイケメンの先輩を見つけて立ち話を始めだしたので、

イライラしっぱなしの君は、とりあえずさっきクリックしたケータイ小説を何ページか読んでいた。


「先輩の彼女サン大学京都行くって本当ですかー」

「さあー無理でしょ」


「ええー彼氏ならそこは断言してくださいよーねぇ?」
「ひどいですよ先輩〜」
「アハハ、先輩ひっどーい」

男一人に女三人がキャッキャと女子高生してるのに、

あんまり男子が得意じゃない君は相槌が浮かばず、ニコニコしながらも、

やっぱりスマホに意識を集中させていた。


読めば読むほど、君の眉頭は真ん中に寄った。

それもこれも、おことわりに書かれていたものの、

ブラックジョークという前置きに甘え、この作品はやや皮肉が過ぎると思った次第である。




そういえば、君のような読者を見越してか、

そもそもイジメっていう単語と遠ざけた物語を理想として、

故意に冗談めかしている作者の方針のせいらしく、

あらかじめ『そのノリが無理な方にはオススメできません。』と、きちんと表記されていた。



でも、