『ルルナ聞いてよ、ネムってばあたしがお取り寄せしたクッキーもブログに書いてたんだよぉ?』
君のお喋りは完璧だ。
澪碧嶺がブログにクッキーの話を書いていて、それは前アタシも食べてたお品なのですって、
普通のことを普通に言っただけなんだから偉い。
別に、『澪碧嶺またやらかしたんだよ! アタシが紹介したクッキーをなんの断りなしにブログにアタシのって感じで書いてんだよー、うざくねー?』
なんて、低レベルなイジメを真似た発言はしていないんだ。
ただ、一般教養を身に付けてる女子高生には、
『ぐすん、ルルナ聞ぃてよぉ、澪碧嶺のブログひどぃの……アタシのクッキーまた自分のって感じで載せててね? 皆は澪碧嶺お菓子までセンスあるねって称賛してるの、うえーん、アタシつらぃよぉ』って聞こえているだけの話だ。
また、
『えげつないと思わない? 誰かにパクられるとか玲が歌手なら鬱になるよ!』
玲ちゃんのお喋りも洗練されている。
もしもアタシが売れてないけど歌手やってて、自分のメロディラインを真似た歌がヒットされたら、生きていけないよって、
普通のことを普通に言っただけなんだから賢い。
別に、『澪碧嶺の真似っていきすぎてるよね?! 玲が君チャンなら澪碧嶺シメたいレベルで許せない行動だよ! ルルナもそうでしょ? アタシたち一緒に親友を守ろうよ、それが友情だよ!!』
なんて、意地悪仲間を増やそうとしてない。
ただ、社会で当たり前に暮らせている女子高生には、
『澪碧嶺の真似は学校行けないぐらいのストレスだろうから君チャンが可哀想だよねぇ……アタシ親友の癖になにもできないの、どうしたらいいのかなぁ、つらぃ』って聞こえているだけの話だ。
ほら、君も玲ちゃんも、一言も澪碧嶺をけなしていないって分かったでしょう?
二人の正体は、自己嫌悪が日課の心優しい双子プリンセスだったんだ。
さあ、以上を踏まえ、数秒前の二人の会話を噛み砕いてみようか。
シンガーが隠したメッセージ性を冴えたリスナーは無事キャッチできるかな?


