「見てよコレ! 写メ加工しすぎでしょ!」
クッキーを実際にかじったらホッペが盛り上がってキメ顔がブレちゃうから、
本当はくわえてないけど、
お菓子が似合う可愛いアタシ目的か、
エアーで食べてるっぽい澪碧嶺渾身のアップ写真、
玲ちゃんがスマホの画面をこちらに向けてくれた。
顎を引いて上目遣いは定番、涙袋を強調するように微笑む可愛い女子高生が、
こっちを見てくる。
「プリクラより補正技術やばいねっ、美肌、目玉キラッキラ、別人じゃーん芸能人ぐらい可愛いね〜」
君は嫌味を、
「さすが! 自分撮り慣れすぎ!」
玲ちゃんは野次を、
自分たちだってブログにバンバン自撮り載せてる癖に、
澪碧嶺だけをありえないってネタにするのがそんなに楽しい作業なら、
君や玲ちゃんが書いた記事だってバイト先の誰かにイジられ、
塾の誰かの娯楽になってるかもしれないのに、
そういう発想がないから、
君たちは今夜も一生懸命更新するんだろう。
「何枚撮り直したのかなあ」
「意外と一発オッケーなんじゃん?」
「あははっ、自撮り慣れてるから?」
「そ。自撮りんプロだからだよ」
「どんだけ自分の顔スキなの」
「可愛いよ、確かに可愛いけど自己愛ヤバイから」
――澪碧嶺は君の真似をする。
たったそれだけの話だったはずが、
さっきから二人は当初の問題と違う点でイジりまくってる流れに気づいてたかな?


