朝、いつも魁人は教室にいない。
あいつのとこにいってるの。
やっぱり今日も、
いない。
「ねぇ、祐輔。魁人は?」
「んあ?魁人?沙希んとこじゃね?」
やっぱり
「わかった」
「魁人うぜー!俺だってさ!沙希に逢いてぇのに!ずりーよぉ!な、友恵!」
「あたし知らない。」
「お前、井村沙希って知ってる?」
「…知ってるよ。あのかわいい子でしょ?栗色の長い髪したちっちゃい子」
「そうそう!やっぱ沙希ってかわいいよなー」
「…そうね」
「あいつ純粋そのものの目してんだぁ。だから俺が育てたいの♪」
「……祐輔へんたーい」
「男は皆そんなもんっしょ?……お前が大好きな魁人も」
「! な、んで…?」
「だいたいわかるし」
「…………そっか」
「んま頑張って~」
「…………」
井村沙希。
あいつがいなきゃ、
魁人はあたしを見てくれる?

