のたお印の短編集

ドレイクの指示で帆を畳み、碇を下ろし、船はその場で停泊する。

目前の海面に立つ、奇怪な男。

迂闊に近づく訳にはいかない。

片手を上げ、船員達に戦闘準備の合図を出しつつ。

「おぅ、てめぇ」

ドレイクは男に声をかける。

「……」

戯れるウミネコ達をそのままに、男は無表情で海の上に立っていた。

最初は男の立っている場所が浅瀬か何かになっているのかとも思ったが、船が座礁しない所を見ると、そういう訳でもない。

ならば…。

「いい天気だな…陽気もいいから海の上を散歩かい?」

険しい表情のまま、しかし穏やかな口調で。

ドレイクは語りかける。