のたお印の短編集

こんな凪いだ海で、まさかその『お宝』を抜く事になろうとは。

「船長!」

マストの上で見張りをしていた船員の一人が、甲板上のドレイクに向かって叫ぶ。

「どうした?」

「……っ」

ドレイクを呼んだきり、口ごもる船員。

「どうしたぁ?ハッキリ言わねぇか!」

短気なドレイクは早くも声を荒げる。

「いやっ…そのっ…」

船員は酷く狼狽しているようだった。

「ラム酒の飲みすぎですかね…海の上に人が立っているように見えるんですが…」