襟足のやや長い黒髪、肩に羽織っているのは船長の証である赤いコート。

この男がガレオン船のキャプテンである事は一目瞭然だった。

彼の名はドレイク・フランソニアス。

あらゆる異世界を股にかける時空海賊団の若き船長である。

「どこいら辺だ?ここは」

「それが…」

船員は困ったように頭を掻く。

「最近時空羅針盤の具合が今ひとつで…正確な位置は分かりやせんで…」

「チッ、役立たずが」

軽く舌打ちしつつも、それ以上船員を詰りはしない。

「まぁいいさ…どことも知れねぇ海図にない海を進むのも航海の醍醐味だ…面舵一杯!このまま突き進め!」

ドレイクは声高らかに船員達に指示を出した。