のたお印の短編集

省吾の武器だというのに、まるで長年使い慣れた愛銃のようにセイフティ(安全装置)を解除して発砲してくるアリッサ。

木の幹に身を隠しながら、省吾は姿勢を低くして逃げる。

逃げながら。

「No.3」

自動拳銃ベレッタM92を射出させ、受け取る省吾。

一定の距離を挟んで、アリッサとの銃撃戦を展開する。

「止さないか!俺はお前の敵じゃない!」

「ならば何故撃ってくる!」

「お前が撃たなければ俺も撃たない」

「そんな話が信用できるか!」

戦闘時の極度の緊張状態から精神が不安定になっている為、省吾の言葉を聞き入れようとしないアリッサ。

戦争という特殊な環境が、彼女を完全な人間不信へと変貌させていた。