のたお印の短編集

「スーツ姿で密林を彷徨っているとは、お前馬鹿か?それとも民間人を装ったスパイか?」

油断のない物言い。

微かに振り向くと、まだあどけなさの残る顔に迷彩模様のメイクを施した若い女性が立っていた。

女性といっても、迷彩柄のタンクトップにズボン、軍靴、ショートカットの金髪。

兵士の出で立ちだ。

長期間のジャングルでの潜伏生活のせいだろう。

酷く痩せ細っているが、その眼光は輝きを失っていなかった。

『任務を遂行する』という強い意志が感じられた。