のたお印の短編集

密林に入ってから二時間が経過。

既に人間の住んでいる気配はなく、聞こえてくるのは野鳥や獣、虫の鳴き声のみ。

近くを流れる川で喉の渇きを潤しながら、省吾は。

「!」

川岸に残る足跡を発見した。

普通の靴ではない。

軍靴。

即ち軍人しか使用しない特殊なブーツの足跡だ。

(近いな…)

静かに音もなく立ち上がる省吾。