のたお印の短編集

ガクガクと膝を震わせ、瞳に涙を浮かべながら。

冴子は一歩、また一歩と廊下を歩く。

誰かに見られるかもしれない。

校庭から誰かが見ていたら…。

いや、校内の見回りをしている教師にでも遭遇したら…。

品行方正、優等生で通っている生徒会長の冴子の全てが崩壊してしまう。

そんな危険と引き替えに。

「……っ」

彼女はゾクゾクとした快感を得ていた。