のたお印の短編集

「君でしょ?『我が校の最底辺』なんて呼ばれてるのは」

冴子の口からそんな言葉が出て、俊平は泣き出しそうになる。

自分の『二つ名』は、生徒会長の耳にまで届いていたのだ。

情けなさで消え入りそうになる。

そんな彼に。

「ねぇ石動君」

冴子はクールな眼差しで顔を覗き込む。

妖艶ともいえる魅力的な眼差し。

これが自分と同じ10代の視線とはとても信じられなかった。

その眼差しで。

「私、石動君にお願いがあるんだけど…」