のたお印の短編集

薄汚れた俊平の姿を冷ややかな視線で見つめる冴子。

いたたまれない。

俊平は小さな体を更に縮こまらせて、その視線に耐えつつ。

「石動…俊平です…」

訊かれた通り名前を答える。

「石動君ね…」

軽く腕を組み、俊平の頭のてっぺんから爪先まで、値踏みするように見る冴子。

この視線には慣れっこだ。

俊平を格下…いや『下等なもの』として見つめる視線。

しかしそれが、密かに憧れる生徒会長にして学校のマドンナ、聖園 冴子の視線となると痛かった。