生臭坊主という言葉がある。

現代では怠け者の事を指す言葉だが、本来の生臭坊主の意味は戒律を守らない坊主(僧侶)の事である。

仏門の身である僧侶は、魚や鳥獣類の肉といった生臭物を口にする事は禁じられている。

こうした戒律を守らず、生臭物を食べる僧侶を生臭坊主と呼び、転じて修行やお勤めをさぼり、金策の事ばかり考えるような僧侶の事も指すようになる。

そういう点では。

「俺なんかは生臭坊主の代表だわなぁ」

慈空(じくう)は顎を撫でながら、歌うように言った。