のたお印の短編集

駐屯地敷地内もまた、多くの自衛隊員が警備の為の巡回を続けていたが、亮二、松岡共に気殺を使える。

如何に日々訓練を続けている自衛隊員でも、彼らを発見する事は不可能だった。

容易く建物の中に侵入し、標的の紅林がいる一室へと向かおうとして。

「侵入者発見」

二人は廊下の途中で自動小銃を向けられた。

立ち止まる二人。

気殺は今も使用している。

どうして発見されたのか。

振り向くと、そこには赤外線ゴーグルを装着した、数人の自衛隊員の姿があった。

紅林子飼いの、直属の自衛隊員。

いわば紅林の私兵だ。

『いずれ亮二達のような暗殺者に狙われる事になる』と自覚しているが故に、こういった装備を身に付けた取り巻きを自身の傍らに置いておいた。

例え気殺を使っていたとしても、人体が発する体温は防ぎようがない。

赤外線ゴーグルは、そういった体温を感知する事が出来る。

気配などなくても発見する事は出来るのだ。