のたお印の短編集

正面から堂々と駐屯地内に侵入した亮二。

これだけでも暗殺者としての技量が窺える。

彼はあの村の虐殺から10年をかけて、暗殺者としての技術を教え込まれた。

誰に命じられた訳でもなく、自分の意志で。

復讐の為。

己の目的を果たす為。

その復讐に役に立つと思える事ならば、どんな事でも身に付けてきた。

気殺や無音歩行術、暗殺に通じる人体構造学、医術、心理学や体術に至るまで。

村を滅ぼしたバッドカンパニーの全メンバーを皆殺しにするまで、亮二はその姿勢を崩すつもりはない。

今も暗殺者としての努力は続けている。

優男に見えるその痩躯は、鋼のような肉体に鍛え上げられている。

鞘を抜けば鈍く光り輝く、人殺しの為だけに鍛えられた無銘の日本刀のように。