一体何時間走り続けたのか。

流石に喉が渇いていた。

後ろを振り向き、誰もいない事に安堵する。

ならば少しくらい足を止めてもいいか。

乱れに乱れた呼吸を整えつつ、足元に視線を移す。

川があった。

綺麗な山水がせせらぐ川。

何とか飲めそうだ。

喉を潤したい。

そう考え、岸辺にしゃがみ込む。

両手で水を掬い、口元に寄せようとした時。

「!?」

男は気付いた。

水面に映る、異形の顔を。