が、流石無名というべきか。

咄嗟に首を捩った事で、猛流渾身の斬撃は脳天を割る事はなかった。

眉間を斬られた程度に留まった無名。

しかし若き外道武士の気迫に押されたか、無名は高く跳躍し、近くにあった高い建物の屋根へと逃げ去る。

「くっ…」

刀の切っ先をアスファルトに突き立て、片膝をつく猛流。

永久子に続いて無名まで。

『黒の者』を二体も仕損じてしまった。

前代未聞の失態。