のたお印の短編集

しかし。

強い神の加護で守られた熾天使であるウリエルにさえ手傷を負わせるとは。

「奴か」

ウリエルは乱戦の戦場…その奥、悪魔の大軍団の陣奥深くで腕組みしている男を睨む。

巨体、炎の帯を額に巻き、頭には大きな二本の角、眉毛はつりあがり、目をぎらつかせている。

その姿、その顔、遥か昔の黙示録戦争で、ウリエルは見覚えがあった。

「汚らしい蝿の王…ベルゼブブか」