のたお印の短編集

大地から立ち昇る幾条もの閃光。

「調子づいているな…悪魔どもが」

その背中の翼で、ウリエルがフワリと空に舞い上がる。

優雅且つ気品に満ちた姿。

この荒れ放題に荒れた終末の世界にあって尚、熾天使の姿は神々しくあった。

まさしく神への愛と情熱で体を燃やす熾天使。

それ故に、神に反旗を翻す悪魔…その長であるルシファーは許せない。

「行こうミカエル、命令を」

熾天使の長たるミカエルに命令を促すウリエル。

…ウリエルは熾天使の中ではまだ若く、血気盛んな所もある。

面倒見がよく慈悲深く、彼に特別な感情を抱いているラファエル辺りは、その事を心配もしているが。

「ああ…行こう」

右手に握った剣を振り上げ、ミカエルが振り下ろす。

同時に。

「目にもの見せてくれる、汚らわしい悪魔ども!」

悪魔の大軍団に勝るとも劣らない、天の軍の天使達が曇天の空に舞い上がった。