のたお印の短編集

「……」

禍彦の眼が座る。

最早表情に笑みはない。

女と思って侮ったか。

そんな自分にも、小生意気な目の前の女にも腹が立つ。

無性に腹が立つ。

腹が立つ腹が立つ腹が立つ腹が立つ腹が立つ腹が立つ「死ねよ女」

禍彦の手に新しいカード。

「出ろよ、『赤い竜』」

呼びかけに応じるように、街に聳え立つビル群よりも更に巨大な体を持つ真紅の竜が召喚された。

ヨハネの黙示録に描かれている魔王サタンの化身である『赤い竜』。

そしてその頭上に。

「!!」

もう一匹の竜が浮遊している事に、朱鷺姫は息を呑む。

「二体同時召喚っ?」