のたお印の短編集

飛び散るガラス片さえも身に纏い、ジルニトラに突進するフェンリル。

「馬鹿か。障壁が見えないのか?」

嘲笑う禍彦だが。

「……」

朱鷺姫はクスッと笑った。

「『見えないわね』」

次の瞬間、フェンリルはジルニトラ正面の障壁を跳躍して飛び越え、鋭い牙でその頭を噛み砕く!

「お粗末な障壁ね。正面だけ守れば全て防げると思った?」

咀嚼音を立てながらジルニトラの頭蓋骨を噛み潰すフェンリルを見ながら、朱鷺姫は薄笑みを浮かべた。