のたお印の短編集

毒牙を突き立てようとするヨルムンガンド。

巨体に比例して、その毒も強力だ。

竜だろうが巨人だろうが、僅かな毒で致死量となる。

禍彦とてそれは承知の上。

「ジルニトラ、見せてやりな」

ニィッ…と口角をつり上げる。

同時にジルニトラの正面に、壁のように出現する魔方陣。

その魔方陣によって、ヨルムンガンドの牙は遮られる!

「障壁…!」

朱鷺姫が舌打ちする。

竜でありながら、牙や爪、ブレスではなく魔法を操るジルニトラ。

並みの攻撃では、この障壁は突破できない。