あゆが拓に一言だけそう言うと、拓はちょっと怒りそうになったけど、そこに映美佳が入ってきた。
「まあまあ。瀬川は何も知らないだろうから仕方ないよ。瀬川。柚、色々あって落ち込んでるみたいだから、様子見ててあげてね。柚と同じクラスで頼れるの、瀬川くらいしかいないから」
「え!?ああ…、まあ、小谷にそこまで言われたらな〜。つーか柚、どした?遠慮なく言えよ」
「ちょっとそこは…。女子同士の話だから、柚が話したくなるまで待ってあげてよ。まあ私が言えることは、班の中でのちょっとした問題ってところまでかな」
「班?確か、西田達と同じ班だったよな?…分かった。言いにくかったらメールでもいーから言って?女子の問題なら俺が助けられるか分かんねえけど」
「ありがと…拓」
「コレ。キーホルダー買ったんだけど、つけてくれよ。俺も色違いのヤツ買ったからさ」
…と、拓が差し出してくれたのは、ガラスでできた小さな飾りが何個か付いた、赤いキーホルダーだった。
そして「俺の分」と見せてくれたのは、同じデザインの青いキーホルダー。
「へぇ〜。瀬川にしてはセンスいーじゃん。あのブレスレットといい、アンタのセンスとは思えない…」
「うっせーな、多田!どーせ俺は女子のセンスなんて分かんねえよ!コレは一応さっきマサと馬場に選んでもらったヤツだからな」
「やっぱり〜」

