真っ赤な布に刺しゅうされた、金色の『合格祈願』の文字。
拓、試験の前でも結構普通通りに友達と教室の後ろの方で騒いだり、先生に突っかかったりしてたから、緊張なんてしてないのかと思ってたんだけど…
ホントはかなり緊張してたのかな?
こんなお守りを頼るくらいに。
「ありがとう。じゃあ、拓の分と私の分を願っておくね」
「おう。二人でA高…受かるといーよな」
「うん…」
そんな事を言われると、不意にクリスマスイブの拓との約束を思い出した。
二人でA高に合格したら………。
想像するだけで、ドキドキしてきちゃった。
拓とキス以上のことをするなんて。
「柚、今何考えた?」
「えっ!?別に何も……」
「顔赤いぞ?」
「そんなことないよ」
「柚って…、けっこームッツリ?」
「たっ、拓!?」
まっ…、またからかわれた……。
私が慌てる様子を見て、拓が「はははっ」と笑った。
絶対わざと言ってる…。

