引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






真っ赤な布に刺しゅうされた、金色の『合格祈願』の文字。





拓、試験の前でも結構普通通りに友達と教室の後ろの方で騒いだり、先生に突っかかったりしてたから、緊張なんてしてないのかと思ってたんだけど…





ホントはかなり緊張してたのかな?




こんなお守りを頼るくらいに。








「ありがとう。じゃあ、拓の分と私の分を願っておくね」



「おう。二人でA高…受かるといーよな」



「うん…」






そんな事を言われると、不意にクリスマスイブの拓との約束を思い出した。






二人でA高に合格したら………。






想像するだけで、ドキドキしてきちゃった。





拓とキス以上のことをするなんて。







「柚、今何考えた?」



「えっ!?別に何も……」



「顔赤いぞ?」



「そんなことないよ」



「柚って…、けっこームッツリ?」



「たっ、拓!?」






まっ…、またからかわれた……。





私が慌てる様子を見て、拓が「はははっ」と笑った。





絶対わざと言ってる…。