「……柚、まだ気付かない?」
「え?何に?」
「俺のポケット、何か入ってるだろ?」
「あ…、うん。そうだね」
「それだけ?」
え!?
もしかして…このポケットの中の物、私に気付かせるためにわざと入れてたの?
普通に拓の持ち物なのかと思って、突っ込まなかったんだけど…。
「ごめん。えっと…、これは何なの?」
「出したら分かると思うけど」
そう言って拓がポケットでつながれていた手をほどいた。
私はほどかれた手でその固いものを掴んで、ポケットから取り出した。
なんか…、薄い長方形みたいな感じの物だけど…?
「あ!合格お守り!!」
「当たりー。まだ合格発表出る前だけど、ソレ柚にやるよ」
「え?でも拓が願掛けしてるんでしょ?私がもらったら……」
「だったら俺の分と柚の分、二人分願掛けしといて。…何か柚が落ち込んでたら、俺が受かっても素直に喜べない気がして。だから、それ見て頑張ってくれないか?」
「拓…」
「そのお守り、けっこー効くと思うぞ?気持ちが楽になれるとゆーか…」

