引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






「……柚、まだ気付かない?」



「え?何に?」



「俺のポケット、何か入ってるだろ?」



「あ…、うん。そうだね」



「それだけ?」






え!?



もしかして…このポケットの中の物、私に気付かせるためにわざと入れてたの?





普通に拓の持ち物なのかと思って、突っ込まなかったんだけど…。






「ごめん。えっと…、これは何なの?」



「出したら分かると思うけど」






そう言って拓がポケットでつながれていた手をほどいた。





私はほどかれた手でその固いものを掴んで、ポケットから取り出した。





なんか…、薄い長方形みたいな感じの物だけど…?








「あ!合格お守り!!」



「当たりー。まだ合格発表出る前だけど、ソレ柚にやるよ」



「え?でも拓が願掛けしてるんでしょ?私がもらったら……」



「だったら俺の分と柚の分、二人分願掛けしといて。…何か柚が落ち込んでたら、俺が受かっても素直に喜べない気がして。だから、それ見て頑張ってくれないか?」



「拓…」



「そのお守り、けっこー効くと思うぞ?気持ちが楽になれるとゆーか…」