拓は倉本くんの言葉を理解してるのかよく分からないけど、あーさんはすごく感心していた。
私も…言われてみれば、そうだよね。
私の他にも、困る質問をされた人がたくさんいるかもしれない。
だから、こんなことで落ち込んでいる場合じゃないのかも…!
「じゃー俺、塾に行くから。あとは拓にでもなぐさめてもらえば?」
「あっ、ありがとう…倉本くん」
「受験お疲れー」
倉本くんはカバンを持って私達に背を向けた。
そして、振り向くことなく右手を上げながら教室を出て行った。
「…あっ。私も今日はカテキョが入ってるんだった!すっかり忘れてたよー。帰る準備しなきゃ」
「じゃあ柚、久々に学校から一緒に帰ってみるか?」
「え?…拓、いいの?」
「もう部活も引退したし。やっと時間の余裕できたかも」
拓に家まで送ってもらうことは結構あったけど、学校から二人で帰るのってかなり久しぶりかもしれない。
拓が部活に入ってからはなかったと思うし。
…なんか、嬉しいかも。
あーさんと校門で別れて、私は拓と並んでいつもの帰り道を歩き出した。
そして、すぐに拓の家の前に到着。

