「えっと…、とっ、友達とよく勉強会をして、色々教え合ったりしました。そのおかげで友達が増えてより親密になったと思います……」
こんな回答が正解なのかどうかは分からない。
でも、この場をやり過ごさないといけない。
苦し紛れに絞り出した答えを右端の人に向かって言うと、その人は少し微笑んだ気がした。
「ほう。友達と勉強会ですか。面白いですね。では自分が長所だと思うのはどんなところですか?」
「勉強会をしていたら、よく『教え方が上手いね』と言われます。そういうことで頼りにされるのがすごく嬉しいです」
「……分かりました。他の先生は…質問ありますか?」
右端の人が他の面接官にそう聞くと、みんな首を軽く横に振った。
すると、それを見ていた中央の人が口を開いた。
「ではこれで面接試験は終わりです。どうぞお帰り下さい。お疲れ様でした」
「はっ、はい!ありがとうございました」
実際の時間に直したら、大して長い時間ではなかったと思う。
だけど…、緊張していて更に答えに詰まったということもあって、この時間がとてもとても長い時間に感じた。
まるで拷問みたいだった…。

