「わっ、私こそごめん…」
「いや、俺、ちゃんと待つって言ったのに。つい我慢できなくなって…」
拓はそう言うと、ゆっくりと私から身体を離した。
そして私の頭をポンポンとしてから、テーブルの下に足を伸ばした。
「俺…焦ってるよな。色んなコトに対して」
「焦ってる…?」
「ああ。この数か月で今後3年間が決まっちまう…とか、柚とホントはもっと近付きたいのに…とか」
「私も…拓と近付きたいと思ってるよ。でも……」
「無理に気持ちと身体の反応を合わせなくてもいーから。マジでさっきのは俺が悪かった」
「うん…、ごめんね」
私がそう言うと、拓は「謝らなくていーのに」と言いながら、私がさっき拓にあげた緑のリストバンドを左手に付けた。
「…あのさ」
「え?何?」
「だったら…もし二人でA高合格できたら……、もっと柚に近付いていい?」
「え…?」
拓の言葉に、少しだけ心臓が跳ねた。
拓と私が揃ってA高に合格できたら…。
合格の通知が出る時期は、そんなに遠い未来じゃない。
そう思うと、身体が中から熱くなった。

